ガンと、私と、ゼンタングル
私が毎日機嫌良く絵を描いて遊んでいると、周りの患者さん達が通りすがりに覗き込んで
「うまいなー!」「ええなぁ、絵が描けて」「私らそんなんでけへんわ」と、声をかけていかれます。
私は入院患者の中では若い方で、お姉様?おばちゃま、おばあちゃま達に「若いのにかわいそう」みたいに扱われてました。
おばちゃま おばあちゃま達はお喋りで時間を潰す事が多かったみたいです。
同室の多くの方が肺ガン患者さんですが、肺ガンにも何種類もあり、症状も様々、薬も様々。Aさんに効果があっても、Bさんには効果なかったり、、。毎日点滴、注射、効果があるか(結果が出るまで)わからない抗がん剤への不安。
お喋りの内容も、自然と不平や不満、不安、病気自慢?になりがちです。
「絵が描けてええなぁ」という言葉は、ただの挨拶ではなかったと思います。
病気が見つかるまで、私はカルチャーセンターで、大人のお絵かきクラス、大人の塗り絵クラスも持ってましたから「一緒に描きませんか?」とお誘いもしましたが、
ザーッと数メートル下がるくらいの勢いで「でけへん!でけへん!」「そんなん描かれへんわ〜」とおっしゃいます。
「誰にでも簡単に絵が描ける方法、ないかなあ?」と頭に浮かんだのはこの体験がきっかけです。
それまでは、逆にそんなに簡単に描かれると、カルチャーセンターに通って頂く必要なくなるわけですから、困っちゃいます。「美鳥先生のクラスで習ったから上手に描けるようになった」と言われるのは嬉しい事でした。
私にとっても「絵は訓練して描けるようになるもの。」でした。