ゼンタングル®︎はリック ロバーツとマリア トーマスの2人によってアメリカで考案されたアートメソッドです。簡単な図形を組み合わせ繰り返し描く事で、文字が描ける人なら誰でも美しい作品を創ることができます。  ZentangleのZenは禅。描く中で自然と集中し、座禅を組んでいる時のようなメディテーション効果を期待できます。 近年の研究で、不安の軽減に効果があることがわかりました。ヒーリングアートとしても注目されています。

midorish

猫絵描き、滋賀県在住、ゼンタングル認定講師、肺腺癌ステージ3Bサバイバーのふるはし美鳥が、あれこれ書いてます。

ガンと私と化物語

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私が電車でワークショップに行く時、小さなホワイトボードを入れて歩くのによく使ってるアニメキャラのかばん。

パッと見たら子供のお古を引っ張り出して使ってると思われるかもしれませんが、これは私の大事なバッグなのです。

 

子供の頃からアニメが大好きでした。ホントはアニメーションの仕事がしたかったけど、親に反対されて、美術大学に行きました。

 

ガンが見つかって、今までした事ないけどしたかった事を、死ぬ前にやらないと!と思って、

その一つが「アニメイベントに行く」 でした。

ちょうどその時好きだったまどかマギカと、化物語を作っていたシャフトという会社のアニメイベントが大阪であり、主人と2人で初めて行きました。

すごいね!可愛いね!と、楽しさを確認し合うような  お出かけでした。長い列に並んで、初めてフィギュアを買いました。思い出作りでした。

 

化物語、という作品に、幽霊だけどこの世界に居残っている小学生の少女が、ついにあちらの世界に帰らないといけなくなり、主人公の高校生が、なんとかそれを阻止しようとする というエピソードがあります。

少女はもう覚悟を決めていて、もう良いんです。あなたの過ごしたこの時間は幸せでした。

と去ろうとする。男の子は自分を犠牲にしてでもこの世界に彼女をとどめようとする。

結局、少女はこの世界から消え行く前に、少年と最初で最後のキスを交わす  という

アニメならではのお話なんですが、

私はこのお話に自分と主人を投影していました。

ガンが見つかって、自分は まあ、良い人生だった。ちょっと早めの幕引きだけど、それも仕方ないか、、なんて諦めてしまっていた部分もあったのです。子供も2人大きくなって巣立ったし、役目は終わった、、たも。

が、主人。主人は 、、、私が先に死んだらこの人はすごーーーーーく悲しむだろう。と思いました。まずい!先に死なないで済む方法があるなら、そうしないと!

 

それで、イレッサでガンを小さくして手術に持ち込む という外科の先生の提案に飛びつきました。

イレッサ重篤な副作用が出ないか、観察しながらの服用という事で、飲み始めの2週間、入院しました。

その入院中毎晩、毎晩、消灯してから、カーテンで仕切られたベッドの中で、

化物語のそのエピソード、少女の方が大人みたいに、少年に運命を受け入れる様に諭す、その場面を 繰り返し 見てました。

 

イレッサが奏功するかどうか、その時はわかりめせんでした。滋賀県では多分初めてのケース。もしイレッサが効かなかったら、こうしている間にもガンは進行するかもしれない。

色々な不安があって、まだ死がわりと身近に感じられる状況でした。

そのアニメ動画は、死と別れを、美しいファンタジーで包んでくれてたのです。

別れが来ても、こんな風に最後まで可愛く、賢く、優しく いられたら嬉しいな。とも思いました。

2ヶ月後、イレッサが劇的に奏功して、手術に持ち込むことができてから、その動画をだんだん見なくなりました。

死から、距離が取れてきた。そう感じていたのかもしれません。

 

フィギュアは、切り取った肺の形見みたい。飾り棚の中で可愛くポーズしています。